ヘッドホンでオーディオ!

ヘッドホンでオーディオを楽しむブログです。

【eイヤホン】不良品をごねまくって返品した話【初期不良】

以前、かの有名なイヤホン・ヘッドホン専門店eイヤホンで中古イヤホンを購入しましたが、不良品でしたので、eイヤホンに返金してもらいました。

返金してもらうまでの道のりがかなり過酷だったので、記事にします。

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中古でイヤホンを買ったのですが、左チャンネルからチリチリとノイズが発生する不良個体でした。明らかな不具合を前にしてそれを我慢して使い続けるわけにもいかず、eイヤホンに問い合わせました。

「お世話になります。そちらで購入したイヤホンですが、左側からノイズが発生していますので、返金していただきたいです。」とメールを送り、問題のイヤホンをeイヤホンまで返送して回答を待ちます。

翌日、メールが来て、その内容はこのようなものでした。「ご指摘のノイズは確認できませんでした。」この返答にはやや驚いたのですが、その時は私の聞き違いの早とちりだったかなと思いました。

 

そんなわけで例のイヤホンはこちらに戻ってきたわけです。専門店のスタッフの検査を通ったイヤホンなわけです。おかしな音がするはずがありません。そう思い、音楽を再生すると、そこには依然としてノイズがありました。このあたりで怒りがふつふつと湧いてきたのですが、ちょっとキレそうなのをこらえて、様々なテストを行います。

まずはアンプを別のものにしてみます。上流の不具合かもしれないからです。うちにある全ての機器に繋いで試しましたが、ノイズは存在し続けます。これは完全にイヤホン側の問題であると確信しました。専門店の店員のくせに耳が悪いなあとか思いつつ、eイヤホンの問い合わせフォームを開きます。

「そちらは問題ないとおっしゃいましたけど、こちらではやはり異音がするのですが、もう一度確かめてもらえませんか。」とメールをします。

翌日早速返信があり、もう一度チェックするから着払いで送れとのことでしたので、また返送します。これで二回目です。着払いで申し訳ないな・・・と思わないでもないですが、返送しました。この時までは、店員だって人間だし、ノイズを聞き逃す事くらいあろうと楽観的に考えていました。

 

「ノイズは確認できませんでした。」

流石にキレました。明らかにノイズがあるのに!

仕方がないので録音することにしました。問題のイヤホンと正常なイヤホンの2つを録音します。イヤホンを録音できる機材なんてないのでスマホです。スマホの通話用マイクにイヤホンの出音口をあてての録音です。こんなしょぼい方法で違いがわかるか不安でしたが、大丈夫でした。そして録音データをDAWで表示して、視覚的にもノイズの存在を確認しました。

そして、三度目のお問い合わせをします。「何度もすみません。やっぱり異音がします。改めてしっかりとチェックしてください。そして返金してください。」かなり強く出たと思います。

 

「着払いで送ってください。」三度目です。よく三度も送らせたなと思いますね。送料だけで1000円くらいかかってますし、向こうからすればこちらはただのめんどくさいクレーマーですから。

そして三度目の返送と三度目の「確認できません」メールです。もういい加減にしてくれと思いました。そこで、「ノイズの録音データもあるのですが、それを送りましょうか。」と返信しました。

するとどうでしょう!「返金させていただきます」とのメールが!私の勝ちです。しつこくねばった甲斐があります。向こうにしてみればクソ面倒くさい客でしょうけども。

 

そうして、返金してもらったのです。正直、彼らは耳がクソ悪いと思いますが、対応はめちゃくちゃいいと思います。こんなクレーマー、普通は無視ですから。

しかし思うのは、専門店で働くなら耳を鍛えてからにして欲しいですね。知識もなくて耳も悪い店員ばかりでは、品ぞろえが良いだけの店でしかありませんので。

 

しかし、専門店の店員ともあろう者がこうもはっきりと顕れるノイズを聞き逃すことがありえましょうか?仮にノイズを知覚できない程度の耳のレベルだとして、何本もイヤホンやケーブル、アンプ類を所有したところで意味があるのか甚だ疑問です。

やはり、彼らが意図的にノイズを認知しなかったのではないかと思ってしまいます。返金したくないから?あるいはそもそも問題のイヤホンの音を聞いていなかったとか、色々考えられてしまいます。彼らの対応はちょっと不誠実というか、音の知覚が極めて主観的で、他者との共有が難しいというのを悪用しているように感じてしまわなくもないです。(ノイズの存在を視覚的にわかる形で証明したら、返金に応じたことから。)

 

結果的に返金はしてもらえましたが、彼らはなかなか返金したがりませんし、不良を認めたがりません。スタッフの耳が悪いのか会社の体質が悪いのか知りませんけど、こういうのは不愉快ですし、店の信頼にも関わる問題だと思います。

不良発覚からの返金までには、しんどい道のりが待っています。eイヤホンで買い物するには、私のように図太く、相手の迷惑を顧みずにメールを送り続ける精神力が必須です。

彼らは頑固ですが、だからといって我々消費者が安易に泣き寝入りするのもどうかと思います。そういう消費者の弱気な態度は、彼らをつけあがらせるばかりですから。

 

 

ヨドバシの初期不良対応が酷すぎた【ヘッドホン】 - ヘッドホンでオーディオ!

HD820の試聴インプレッション

HD820を秋葉原のeイヤホンにて試聴させていただきましたので感想を書きます。

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 2018年に発売されたゼンハイザーの密閉型ハイエンドヘッドホン:HD820について、当初、私はあまり良い印象を持っていませんでした。「所詮はHD800Sを密閉型にしただけだろう。それに、いつまでHD800アーキテクチャを使い続けるつもりなんだ?かれこれ十年近く”High Definition Driver 300Ω”の文字列を目にしてきているのだが」といった具合にです。発売当初、近くの家電量販店で少しだけ試聴しましたが、そのときにはこのHD820とHD800(S)との間に、明確な差を感じ取ることは出来ませんでした。

 今になってようやく、じっくりと試聴してみてHD820の実力の片鱗を感じることができたので、軽く感想を書きたいと思います。

 専門店のeイヤホンにてHD820を試聴しましたが、その性能の全容を把握できたわけではありません。というのも、HD820とHD800は、ドライバーは同じですので性能面では両者の間に大きな差はないと考えられますが、うちのHD800SDRに完全に負けていました。よって、繋がれていたDAC及びアンプが比較的貧弱で、HD820の潜在能力を引き出せていなかったのだと思われます。

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貧弱な複合機では物足りないです。

 

 HD820を聴いてまず思ったのは「このヘッドホンは密閉型の最高峰であり、開放型のハイエンドヘッドホンたちとの比較にたえうるものである」ということです。HD800,800Sの香りを感じさせつつも、密閉型らしくハイスピードで、硬質かつ解像感を強調した、クールで乾いた分析的なサウンドです。低音はHD800よりも明らかに速いです。

 HD800Sの音を密閉型で再現しただけだろうと高をくくっていましたが、全く方向性の異なる音です。開放型のHD800Sが広大な空間に音を描写してくのに対して、こちらは程々の広さの空間に正確に音像を定位させています。HD800Sの音場は非常に広くてよいのですが、広い分だけ定位が曖昧になります。また、同じ理由で音源の距離感が掴みづらいということがあります。*1こういうのは大編成のオーケストラなんかを聴く場合には、最高なのですが、分析的に音楽を聴くという場合にはあまり歓迎できません。その点、HD820は分析的で、いかにも密閉型的な音です。

 それでいて、密閉型のデメリットは殆ど感じさせません。密閉型にはよくあることなのですが、アコースティック的に増幅されたブーミーな低音や伸びの悪い高域などといった構造上の不利益が目立つ場面はとくにありませんでした。バックがふさがっている以上、帯域が被って混濁するというのは仕方ないことだと思うのですが、HD820ではそういったことはなかったです。これ程までにうまく仕上げるとは、ゼンハイザーのエンジニアたちは本当に優秀です。密閉型ヘッドホンの利点と開放型ヘッドホンの利点を両立させています。

このHD820は性能的には申し分ないのですが、音楽を楽しく聴かせるようなヘッドホンではないと感じました。上にも書いてますが、飽くまでもモニター調で、その意味ではCD900STに近いと思います。(もちろん音質、絶対的な性能差は天と地程もありますが。)

 さて、HD800ファミリーを音楽性の高い順に並べるとしたら、こんな感じでしょうか : HD800S>HD800>HD820 

 HD800SはHD800から高域のキツさをレゾネーターを用いて取り払い、低域を増強したモデルです。HD800よりHD650らしさが強いです。重厚で艶やかな低中域は、やはりヘッドホンの音楽性にとっては重要なファクターです。線の細い、繊細な表現についてはHD800(S)の方が上手です。800がHBだとすれば、820は2Bくらいの濃さ、太さがあります。HD820はHD800系の中では一番モニターっぽいです。*2

 しかし、だからといって癖のない完璧なモニターヘッドホンであるかというとそうとも言えません。高域側に詰まったようなピークを感じる帯域があります。HD800(S)では、ここはスーッと抜けていくところです。とはいえ、癖のない完璧なヘッドホンは存在しないので、これでも普通にハイエンドだと思います。

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eイヤホンの試聴環境はあまりレベルが高くないので、もっと良い機器で試してみたいです。明らかにヘッドホンを持て余していました。

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Questyle CMA400iとCayin HA-1A Mk2のシステムでも聴きました。

CMA400iをDACとしてHA-1A Mk2に入力していましたが、なぜかCMA400iの出力がVariableでした。こういう時はFixedにするのが普通です。つまり、CMA400iでも、HA-1A Mk2でもボリューム調整ができる状態です。これではプリを2つ通したような状態で、情報の欠落がかなり激しいと思うのですが、その点はあまり考えていなかったのでしょうか。こうやっておかしな方法で無駄に機器を繋げるくらいならCMA400i単体で聴いたほうが良い音がしそうです。

 

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MDR-CD900STは音楽再生に向かないクソ音質の糞 - ヘッドホンでオーディオ!

*1:ちょうど、圧縮効果で被写体間の距離が縮まって見えるようなものです。

*2:モニター調が音楽性に欠けているという主張ではありません。ただ、音の甘い真空管アンプLuxman製品が支持を得ているというのも事実です。

本ブログについて

ヘッドホンでオーディオ!にアクセスしてくださりありがとうございます。このブログではヘッドホンを中心に据えて、PCを用いたデスクトップオーディオの記事を書いていくつもりです。

ヘッドホンに思うこと

 スピーカーは昨今の住宅事情から使える人が限られているので、オーディオに興味を持った人がまずはじめに検討するのはヘッドホンかイヤホンだと思います。ヘッドホンなら空間を占領せず、音楽を聴く時間帯を選ぶ必要もないので現代人の生活に適していると考えています。「音量を気にして存分に音楽を聴けない、苦情が怖くて夜間は音を鳴らせない。だから音楽を最高の状態で聴けるのは休日だけ。」というのは少し悲しいです。なぜなら、音楽やオーディオは生活に寄り添っているべきだと考えるからです。音楽という芸術・文化は常に人とともにあるべきなのです。

 周囲にびくびくしながらスピーカーを使うくらいならいっそヘッドホンに乗り換えた方が幸せになれるのではないかと思います。

ヘッドホンの音質・性能の向上も近年はめざましく、ピュアオーディオに用いられるようなハイエンドな機材のポテンシャルを受け止めるだけの器があります。スピーカーでなくては追求できなかった高音質の世界は、今ではヘッドホンによっても十分にこれを楽しむことが出来ます。

 

 今あるデジタルオーディオの形態はおおよそ3つあり、1つ目にCDプレーヤーでCDを聴くやり方、2つ目にPCとUSB DACを使ったやり方、最後にネットワークオーディオです。

 CDプレーヤーはおおよそ30年の歴史のある完成された分野で、音質も非常に良いと感じていますが、ハイレゾ音源に対応出来ないことや、空間的制約を課する物理メディアの取り扱いが基本であること、さらに音楽のダウンロード販売やストリーミングが主流であるこの時流においては先の短いハードであると考えざるを得ません。

 パソコンであればCDにもDL販売にもハイレゾにも、さらにストリーミングにも対応できる柔軟性と利便性があり、組み合わせるUSB DACの方も殆ど成熟している状態です。始めるには、すでに持っているPCにDACを追加するだけですので、オーディオを始める心理的ハードルもかなり低いのではないかと思います。より良い音でストリーミングサービスを楽しみたいという要望にも簡単に答えることが出来ます。最近では中国製の安価で高品位なDACが多く出回っており、オーディオの導入に伴う金銭的なハードルの方も高くはないです。しかしながら、オーディオのグレードを上げていくと、PCが汎用機ゆえの限界に達してしまいます。ノイズ対策やPCのチューニングなど、音質対策は多岐に渡り、PCオーディオの最大のメリットであった利便性までもが失われかねないという始末です。

 そこで、ネットワークオーディオが登場するのですが、こちらは利便性を維持しつつも専用機なので音の方も良いです。しかし、導入コストがやや高くなりがちで、システム全体を構成するコンポーネントの数が膨大になり、その構築もやや難易度が高いと思われます。コンポーネントが多い分、音質対策も非常に困難になるので、トータルで見ればPCオーディオもNTオーディオも似たりよったりというわけです。加えてですが、けだしNTオーディオはスピーカーユーザーを対象にしている嫌いがあります。スピーカーやアンプ類から数m離れたリスニングポイントからスマホタブレットから楽曲を選んで再生するというふうな使用方法を想定していると思います。しかし、ヘッドホンはすぐ隣の作業机に置いてあるのが一般的だと思います。その場合、目の前にはPCがあるのではないでしょうか。すぐ手の届くところにコントロールバイスがあるのに、あえてスマホで操作を行うというのは非合理的に思えます。

それならば、導入コストの安いPCオーディオの方に分があると思うのです。

最後に

 このブログが、そういった、PC・デスクトップオーディオをこれから始める人、もうすでに楽しんでいる人たちの音質向上の参考になれば嬉しいと思っています。

私は全くお金持ちではありませんから、基本的にコスパ重視の機材を選んでいます。そのためこのブログにはこじんまりとした音質改善の記事しかあがらないのですが、寧ろその方が、多くの人にとって参考になると考えています。

 オーディオの音質改善に関する記事の他にも、レビューや短いエッセーなども書きますが、製品についてあまり良いことは書かないつもりです。つまり悪口ばかりの記事を書くということです。

気分を害するから悪口は書くなという風潮が起こりつつあるようにも見えますが、毒にも薬にもならないような絶賛レビューよりはなにかの役に立つと思います。

 なにはともあれ多くの人とオーディオの楽しさとかをシェアできたら嬉しいです。

 

noteの方もどうぞ。メモです。

elenium|note

 

ヨドバシの初期不良対応が酷すぎた【ヘッドホン】

以前、ヨドバシカメラでヘッドホンを買ったのですが、運悪く不良品に当たってしまいました。(二度も!)その時のヨドバシカメラの対応についてのメモです。同じような状況の方の参考になれば幸いです。

 

ヘッドホンが不良品だった

昨年、FOSTEXのT60RPをヨドバシカメラの店舗で購入しました。ワクワクしながら家に帰り、いざ聴いてみると、低域が歪んでいます。”ビリビリビリ・・・”と振動板がどこかに接触しているような音がしていました。

聞き取れるレベルの明らかなノイズだったので、すぐさまヨドバシカメラに電話を掛け、交換するようお願いしました。

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交換対応

後日、問題のヘッドホンを持って、ヨドバシのオーディオコーナーまで足を運びました。近くにいた店員さんに声をかけ事情を説明すると、その店員さんは「確認させてください。」とおっしゃってヘッドホンを確認なさいましたが、どうも私の意見に対しては不服そうな様子で「ノイズはないと思いますが。」と。家を出る前にもノイズが出ることを確かめていた私は、そんなはずはないとその場で確認しましたが、やはりノイズが発生しています。

「いや、ノイズはある。」と私は食い下がり、ついに店員さんは新しいものと交換してくださいました。

これで一件落着と思いきやそうはいきませんでした。

二度目の不良品

交換していただいたので、もう大丈夫かと思いましたが、だめです。交換品も不良品でした。正直驚きです。誰も二度も立て続けに不良品に当たるとは思いませんから。症状は最初と同じで、低音を鳴らすとノイズが発生するというものです。

交換してもらった後、すぐにまた交換をお願いするのは流石に気が引けたのですが、不良品は不良品です。仕方あるまいと、電話をかけました。

オペレーターの方がヘッドホン売り場の専門の店員さんに繋いでくださったので、その方とお話をさせていただいたのですが、これがかなり頓珍漢でして、頭を抱えました。

ヨドバシ店員の不良に対する見解

その店員さんをY氏としておきます。店舗で対応してくださった際に名刺をくださいました。以下、会話の再現です。(細部まで正確ではありません)

 

私「このT60RPは、つい先日初期不良で交換していただいたばかりなのですよ。」

Y氏「そうですか、一旦確認させてください。」そう言って、静かな奥に入る。

Y氏「確認させていただきましたが、おっしゃるようなノイズはありませんね。」

私「そんなはずはないです。間違いなくノイズはありますよ。試しに低周波を鳴らしてみましょうか。やはり、異音がしますね。」

Y氏「うーん、私には聴こえませんがね。」

私「他の方を呼んでくださいますか。」

別の店員が来て、確かめるが、ノイズはないという。

私「それはそうとして、どう対応してくださるんですか。」

Y氏「不良が確認できない以上、交換はできませんね。」

私「しかし、ノイズがあるものはあるのですがね。しっかりと聞いてください。」

Y氏「わかりませんね。私も沢山ヘッドホンを持っていますが、あなたのおっしゃるような不良は経験したことがありません。それに、二度も不良が続くとは考えづらいですよ。何か違和感を感じていらっしゃるのなら、エージングをしてみてください。」

私「エージングとノイズは無関係かと思いますが。」

Y氏「とはいっても、確認できないものは仕方ないんですよ。エージングで何かが変わるかもしれませんから、とにかく。」

私「しかし、これは平面型の構造上発生しうる不良だと思うんですがね。エージング云々ではないと考えています。交換してくださると嬉しいのですが。」

 Y氏「それはできません。一度、FOSTEXのサポートに問い合わせてみてください。修理という形で、ヨドバシカメラからFOSTEXの方に送りますから。」

私「納得がいきませんが、わかりました。おっしゃるとおり、問い合わせてみます。それと、エージングもしてみましょう。症状が改善することはありえないと思いますがね。」

その後、FOSTEXからの返答がきたら連絡してほしいとのことで、Y氏から名刺を頂きました。

まとめると、店員のY氏はノイズを聞き取ることが出来ず、ノイズの報告をエージングで片付けようとしたわけです。当たり前ですが、ノイズはただの不良であり、エージングとは全く無関係です。

メーカーに問い合わせる

Y氏の言う通り、FOSTEXに問い合わせてみました。

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ある周波数帯域でノイズが発生するのはなぜか、バーンイン(エージング)とノイズに関連性はあるか、の二点をメールで質問しました。

サポート担当の方からの返事は以下のようなものです。

バーンインで音が変わることはあるが、ノイズとは無関係だと思われる。次にノイズの原因だが、これは平面ダイアフラムの特徴によるものかもしれない。通常のダイナミック型ドライバーよりもストローク幅に制約があるので、入力される信号が大きいと特に低域においてノイズが発生する場合がある。

そして、実機を見ないとわからないので、とにかく送ってほしいとのことでした。

「バーンイン不足では?」

問い合わせてから返信をいただくまでの期間、ヘッドホンをアンプに繋ぎっぱなしで数十時間音楽を再生しましたが、当たり前ですがなんの効果もありません。ノイズは健在です。

Y氏の言っていたバーンインの件は、FOSTEX社も否定しているので効果などあるわけがないですね。

修理依頼

FOSTEXからの返事もあったことですし、ヨドバシに修理に出してもらいます。どうすればよいか、電話で伺いました。オペレーターの方にY氏に繋ぐようにお願いしましたが、その日は不在らしく、ヘッドホン売り場の別の型に繋いでいただきました。以下、店員のO氏と私の会話です。

私「かくかくしかじかでして、FOSTEXさんからお返事がありましたので電話させて頂きました。」

O氏「はい、伺っています。一階の修理コーナーに持ち込んでいただければ、こちらでFOSTEXさんに送ります。」

私「わかりました。ありがとうございます。」

O氏「ちなみに、例の異音はどのような理由で発生したのですか。」

私「振動板のストローク幅が狭いため、入力信号が大きいとノイズがでることがあるようです。」

O氏「なるほど。ありがとうございます。」

 翌日、指示された場所にヘッドホンを持ち込み、修理にだしてもらいました。

修理されてから

修理から戻ってきてからは全く不具合なく動作しています。組付けなおしたとのことでした。

まとめ

ヨドバシの対応は個人的にはかなり残念でした。加えて、店員の知識の無さにも落胆せられます。ヘッドホンからの異音を訴える客に対して、「バーンインしてみろ」というのはあまりにも頓珍漢ではありませんか。非常に残念です。それに、ノイズをききとれないとはヘッドホンコーナーを受け持っている店員として大問題だと思います。

しかし、一度は交換してくださったこと、手際よく修理に出してくださったことには感謝しています。 

かっこいいDAPを選ぶ【ポータブルオーディオ】

DAPを買おうと思い立ったので色々考えてみました。

批判ばかりの記事なので不快になるかもしれません。

 

前置き :「スマホじゃだめなの?」

「イヤホンなんてスマホでいいじゃん。インピーダンスも低いんでしょ?」

イヤホンは高性能なものになるほど駆動が難しくなります。だからスマホでイヤホンを高音質に鳴らすのは難しいです。たまに、イヤホンのインピーダンスが低ければスマホでも簡単に鳴らせると思っている人がいますが、これは間違いだと思います。”鳴らせる=音量が取れている”という認識ならそれでよいのですが、普通のマニアはそうは思っていません。

高音質でイヤホンを駆動するにはどうすればいいかというと、やっぱりアンプが必要です。それもイヤホンが繋がれることを想定しているやつが。ヘッドホンの使用を想定して開発された据え置きの大型アンプでは、イヤホンをまともに鳴らすことは難しいです。(ものによりますが)

餅は餅屋という言葉があるように、イヤホンにはイヤホン向けのアンプが必要です。そのアンプというのがDAPやポタアンと呼ばれているものです。(”専用機=良い”とかそういう安直な考えや、想像で話しているわけではありません。大は小を兼ねないことも多いです。)

ポタアンは嫌い

外出先でも高音質で音楽を聴くためには、やはりDAPとかポタアンが必要です。でもポタアンは正直嫌いです。トラポにポタアンを重ねると圧倒的にかさばりるのでポケットに入れることは不可能です。だから携帯するにはバッグが必要不可欠です。仮に無理矢理突っ込んでなんとかポケットに収めたとしても、ポケットが膨れ上がってしまい、嘔吐するほどダサい格好になってしまいます。長財布をお尻のポケットに突っ込んではみ出させてる人くらいダサいです。そんなわけでやっぱりバッグは必要なのですが、使うバッグにも制約があります。

リュックはまずだめです。なぜならリュックにポータブルシステムをいれてしまうと操作性が壊滅的に悪くなるからです。曲の選択や音量の調整をするたびにリュックをおろすのは非効率ですし、なにより心置きなく音楽を楽しめないので本末転倒です。こうなると、使えるバッグは必然的に斜めがけバッグかショルダーバッグに限られてしまいます。

しかし、斜めがけバッグというのはかなり難易度の高いアイテムです。私のようなファッション初心者が適当に使うと一発でダサくなりますし、陰キャオタク感を醸してしまいます。ショルダーバッグも同じ理由で使いたくありません。(ボディバッグとか腰につけるやつも個人的にはだめです。)陰キャに与えられた選択肢は、手ぶら or リュックだけです。残酷ですが、その他の選択をしてしまうと一気にキモくなります。

すなわち、バッグは持てないのです。というわけでポタアンは使えませんし、DAPもポケットに入るくらいの小型なものしか選べません。

DAP選択の基準

まず、小さいことが最優先です。理由は上で説明したとおりです。

次にデザインがかっこいいこと。かっこ悪いのを外で使うのは嫌です。

無彩色であること。イヤホンがシルバーなので、あまり派手な色は避けたいです。

安いこと。何十万円もするようなDAPは買えません。メインは据え置きなのでポータブルに大金をはたくつもりはありません。

音質がいいこと。当たり前ですけど音質は大事です。音質が悪ければわざわざ荷物を増やす意味がありません。iPhoneより高音質なことが条件です。

操作性がいいこと。UIが使いづらかったりで操作性が悪いのは嫌です。ストレスが溜まるからです。

 

以上が私がDAPに求める条件です。上から最も優先順位が高い順に並べています。最優先は小さいことで、最悪操作性は悪くても良いです。これらの条件でDAPを探していきます。

かっこいいってなんだ

さっきから私はかっこいいを連呼してますけど、何がかっこよくて何がかっこ悪いのかを簡単に説明しておきます。(個人の感覚です)

デザインはシンプルなのが最も良いです。シンプルとは、合理的なこと、複雑な形状ではないことや、配色がごちゃごちゃしていないことを指していいます。例えばAppleiPhone5iPod Classicなどです。(iPhone11は最悪です)

そして、小さいこと。私は、小さいは可愛いという日本古来からの価値観を持っているので、でかいより小さい方が良いです。小さいものは上品です。

女性が使っていても違和感のないデザインが良いと思います。あまりマスキュリンすぎるデザインは下品に感じられます。

シンメトリーであればなお良しです。

 

ではかっこ悪いDAPの例を挙げて見たいと思います。 

 まずはこれ。

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まずはこれ。音質に定評のあるAstell&KernのDAPですね。なんですか、この斜めったデザインは。奇をてらったデザインは大嫌いです。別にこれで使いやすくなるわけじゃないですし、だとしたら意味がありません。全く非合理的なデザインですし、なによりセンスが無いです。(悔しいですけど音はいいです。)

 

次はこちらです。

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 SONYの最上位WALKMANです。特にこの金色が最悪です。無教養な成金趣味のデザインで、とても外で使う気にはなれません。一体誰がこんなデザインを採用したのでしょう?恥知らずな最悪のセンスに驚愕です。色もそうですが、形状も気に入りません。上部の横に飛び出てるのはなんですか?ダサすぎで倒れそうです。(めっちゃ音質がいいのが救いです)

 

お次もSONYWALKMANです。

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ハイレゾ対応の入門機です。安くて小さいですが、デザインがかなり微妙ですね。それでも上の成金WALKMANよりは格段にいいデザインですね。無難にまとめられていて好感が持てますが、上部のSONYロゴと下部右のWALKMANロゴが鬱陶しいです。外見については可もなく不可もなくですが、色のセンスが悪いです。ここには一番マシな色だと思ったのを貼りました。レッドとかゴールドとかは最低レベルの色です。けばけばしくて下品です。色のセンスの悪さは上位機種から引き継がれているようですね。なぜシルバーを用意しなかったのでしょうか。

 

それとこちら。

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PioneerのDAPですね。この上部のハンドルみたいなのが気に食わないです。バッグから取り出しやすいようにという配慮ですか?それともここをつまんで携帯しろってことですか?ちょっと私には使い道が思いつきません。非合理的です。それに、下部の突起や斜めのラインも気に食わないです。直線の方が圧倒的にいいです。

 

あとこれ。

 

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上部のボリューム調整用のダイヤルが突出しているのが不快です。このゴールド色は悪趣味でダサいですが、グレーの方はかなりかっこいいです。物理キー搭載のインターフェースも悪くなさそうですが、上部の突起が全てを台無しにしてしまいました。

 

ダサいDAPを挙げだしたらきりがないのでデザイン批判はここまでにしておきますが、この世の中のDAPはほとんどがダサいです。オタクっぽいデザインは本当に嫌になります。”メカメカしくてかっこいい”のか何なのか知りませんけど、壊滅的なセンスの無さです。開発者がオタクだからなのか、購買層がオタクだからオタク受けのよさそうな”かっこいい”デザインになったのか知りませんけどこんなの街中や電車で取り出して使うもんじゃありません。こういうのを自慢気に取り出す人はダサいしキモいです。

私が上で挙げたようなDAPを使っている方、気分を害してしまったらごめんなさい。

かっこいいDAPを選ぶ

さて、それではかっこいいDAPを選んでいきます。価格.comに登録されているものの中から選出します。基準は上記の通り、小さくてかっこいいこと。値段は10万円前後とします。

いろいろとみた結果、17機種の候補ができました。

 

Apple iPod Classic

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デザインの良さはiPod Classicがトップクラスですね。無駄のないデザインとUIで、さすがはAppleです。サイズもそこそこ小さく、ポケットに十分収まるでしょう。

古い機種なので中古市場の在庫も豊富です。一万円前後の価格で美品が手に入ります。

しかし音質が圧倒的に悪いと思われます。48kHz/24bitまでしか対応していませんし、アンプの駆動力がかなり低いはずです。最も音質の良いと言われている第五世代はWolfson製DACチップを搭載していますが、出力インピーダンスが11~20Ωもあるので、一般的な16Ωのイヤホンでは駆動力が不足すると考えられます。このことを考慮してか、付属のイヤホンのインピーダンスは35~45Ω程度あります。

インピーダンス(35Ω以上)、高能率のイヤホンを使うなら音質的に最悪ということはなさそうですが、低インピーダンスイヤホンを繋げる場合には音質がかなり悪そうです。

 

HiFiMAN MegaMini

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デザインはかなり良いです。機能美を追求したシンプルさが最高ですね。物理キーがあるので慣れればブラインドでも操作できそうです。サイズに関してはかなり小さく、気軽に持ち運べます。ボディは樹脂製らしく、高級感はいまいちかもしれません。

音質はかなり良いと思います。低いインピーダンス側の駆動力も非常に高いと思われます。192kHzまでのサンプリングレートに対応しています。DXDフォーマットには対応していませんが、必要十分なスペックだと思います。

不安なのは操作性です。曲の読み込みや動作速度がもっさりしていないか気になります。

価格は新品で2万円未満ととても安いです!

 

以上です。

価格.comに掲載されている中で、良いデザインだと思えたのは上記二機種のみでした。iPodは音質的に使い物にならないと思われるので、私が買えるDAPはMegaMiniのみです。

思った以上にナンセンスな見た目のDAPが多くて困惑しています。少なくとも10機くらいはまともなのが見つかると思っていましたが、全くの見当違いでした。

まとめ

「小さくてかっこいいDAP」をコンセプトに価格.comで探しましたが、結果として良いと思えたのDAPは一つしかありませんでした。でかくて重くてダサいDAPは山程あるりますが。

そもそも高級DAP市場のターゲットがオタクか成金なので、デザインも彼らの美的センスに合わせてなくてはいけません。一般人に理解されなくて当然なのでしょうね。

小さくて品の良いDAPが増えるのを願います。

(美的センスは人それぞれあって、それぞれ全てが正しいです。)

多ドラ、マルチBAって音質悪くないか?

 マルチBAイヤホンを試聴してみて感じたことを書いてます。

 

前置き

 昨今のイヤホンのトレンドはマルチBAのIEMらしいです。樹脂製のシェルにBAドライバーを詰め込んだイヤホンをよく見ます。eイヤホンの店頭に並ぶ、10万円超のハイエンドイヤホンたちの殆どがマルチBAのIEMなんじゃないでしょうか。また、それらは音質の評価も非常に高いように思います。

しかし、私はマルチBAが好きではありません。第一、音が良くないと思います。もちろん、全てのマルチBAの音質が悪いというつもりはありませんし、好みの問題もあると思います。ただ、私が所有あるいは試聴したことのあるイヤホンたちは大方、音質が良くなかったという話です。

 この記事はマルチBAイヤホンを所有されている方にとっては不快な内容かもしれませんので、その点ご留意願います。

 

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eイヤホンで試聴してみて

 詳しい型番までは覚えていませんが、UE、UM、qdc、CA、VE、などの10万円以上のマルチBAを試聴させて頂きました。

 随分と期待していたのですが、残念ながら軒並み音が悪かったです。帯域ごとの繋がりが悪く、音が混じり合って混濁しています。音像は定まらず空間表現などというものは微塵もありません。低域はブーミー、高域はまるで伸びず、おかしな付帯音がまとわりつきます。

どの機種の音も音楽としての一体感がまるで無く、何を聴かされているんだろうと不思議な気持ちになりました。20万円超の超高級機でさえこの有様でした。

試聴した中で一番まともな音だったのはRose BR Mk2という5万円未満のミドルクラスのイヤホンです。

 「いや、お前の試聴環境が問題だろう。いったいどんなDAP・アンプを使ったんだ?」と言われてしまいそうですが、これはもっともな指摘です。私が試聴の用いたプレーヤーはiPhone5sでした。なんの音質的配慮もなされていない、ただのスマートフォンですから、駆動力を要求するマルチBA機をいい音で鳴らせるわけがありません。

 

 次にお店にあるアンプでも試聴させて頂きました。うろ覚えですが、ソースは古い型のMacbookで、DACはHugo2、HPAはBursonだったと思います。もしかしたらBursonの一体型だったかもしれませんが、いずれにせよかなり高級なシステムであることには違いありません。

 そこで店員さんに出して頂いたのはVEのErlkönigとローゼンの銀のイヤホンです。

前者は、シルバーのハウジングにエングレーブが施されていてかっこよかったですね。価格は60万円くらいだったと思います。間違いなくハイエンドイヤホンと呼ぶべき機種でした。後者はマルチBAではない(たぶん)のでこの記事の趣旨に反しますが一応言及します。

 まず、Erlkönigですが、一聴して音の悪さに落胆せられました。感想は上記に書いたものとさほど変わりません。低域の締まりが無く、サウンドステージ全体に拡散しています。高域はピーキーでかなり荒れていました。確かに細かい音まで鳴っているなとは感じましたが、帯域ごとに別の場所から音が鳴っている様で、再生音は音楽としてめちゃくちゃです。音像は希薄で立体感がありません。サウンドステージはかなり広いと思いましたが、他の欠点を補えるような強力な要素ではありません。はっきり言ってがっかりの音質です。とても60万円のイヤホンとは思えません。流石に店員の手前こんな事は言えませんでしたので、適当に愛想笑いをしつつやり過ごしましたが。

 次にローゼンのイヤホンですが、こちらも20万円程度とかなり高価です。こちらもErlkönigと同様、聴くに堪えない音質でした。同様に低域のブーミー、高域は自然な伸び方をしていましたが、全体的に籠もっていて細部がぼやけている印象です。20万円を払おうとは思えない音です。

 しかし、メーカーの威信をかけたハイエンド機がこんな音質なわけありません。真っ先に疑ったのはお店に置いてあるアンプです。上記二機種の詳しいスペックはわかりませんが、低域のブーミーさと音のぐちゃぐちゃした感じは、アンプの出力インピーダンスが高いことが原因のように思えます。インピーダンスの高い大型ヘッドホンを駆動するために設計された、据え置き型のアンプでは、低インピーダンスかつ多BAのイヤホンを最高の音で鳴らすのは無理があったようです。出力インピーダンスの高いアンプに、インピーダンスが低く、変動の大きいマルチBAをつないだことで、おかしな音になったと予想します。

 eイヤホンの店員さんといえばオーディオのプロですから、イヤホンが、彼らの勧めるアンプとマッチしていないなどということは、そのときは考えもしませんでした。

中華マルチBAイヤホン

 ところで、私は以前YinyooというメーカーのHQ8という機種を所有していたことがあります。片側8BAのマルチBA機です。ケーブルは、同じストアで販売されていた16コアの銀メッキケーブルにリケーブルしていました。

独身の日のセール時に買ったので、本体+リケーブルで約3万円程度で購入したと思います。私としてははじめてのマルチBA機で、価格も3万円と安くはなかったので音質にはかなり期待していました。

 しかし、期待は裏切られ、イヤホンから出てきた音は粗悪そのもので、非常にがっかりさせられました。かなり落ち込みました。

ちなみにアンプはCHORD Mojoです。Mojoに繋げてもまともな音がでなかったのです。iPhoneはだめ、ヘッドホンアンプもだめで、ポータブル用に設計されたMojoでもだめ。じゃあ何を使えばいいんだ?と憤ったのを覚えています。

聴いた感想は上記と似たようなものです。帯域ごとの繋がりが悪くて音はバラバラ、高域は荒れるし低域はブーミー、奥行き感も無ければ立体感もないし、解像度も低い。正直に言ってゴミです。iPhone付属のイヤホンのほうがまともなんじゃないかと思ったくらいです。

 150時間はバーンインする必要があるとのことだったのでそのとおりにやってみましたが、だめです。もう笑うしかありません。高域の荒れ具合はやや改善されて丸くなった印象で、解像度は若干向上したと思います。だけど最悪が悪になった程度のものです。音質はゴミ以下です。

 しかしながら、驚くべきことにこちらのイヤホンもネットの評価はかなり高いです。そうなるとやはり自分のリスニング環境を疑いたくなります。レビュー記事には筆者の使用しているアンプやDAPが明らかにされていることが多いので、みなさんがどのような環境でリスニングしているのかを確認してみたところ、DAPで聴いていらっしゃるようでした。つまり、一般的な価値観としては、「DAPでなら高音質に鳴る。」ということになります。

でも考えてみてください、MojoがそこらのDAPに負けるはずがありません。公表されているスペックだけ見れば今でも最強クラスです。低インピーダンスのIEMに弱いことはありません。(ただしスペックと音質は別です。)つまり、少なくとも最悪の音が出ることはないはずなのですが、私の聴いた音は最悪でした。これはもうイヤホンの問題です。イヤホンの音が私の感性に合わなかったということになるのでしょうか。

 

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まとめ

 HQ8を聴いた感想は上記のErlkonigのパートで書いたものと似ています。価格は20倍も違いますが、マルチBAという点は同じで出音の傾向も似ているのですから、自分の中では「マルチBAは音が悪い」と結論しています。

試聴したサンプル数が少ないので、この結論を引くのは短絡的かと思いますが、シングルBAやDDやハイブリッドの各機と比較すると、やはりマルチBAのIEMは総じて音質が劣悪だったので、かなりこの結論はあながち間違いじゃないんじゃないかなと思ってます。

 バカの一つ覚えみたいにドライバ数を増やしまくったマルチBA機は、音楽をバラバラにするのみで、音楽を再生しません。音ひとつひとつに原子のごとく細かく分解し音楽という体系から遊離されるために、再生音は音楽の体をなさず、ただの"音"を聴くはめになります。

音楽から音という原子を分離し、またその最小単位を集めれば音楽に還元できるという考え方は間違いです。系統立てで音楽を組織しなければ、ただの音の集合でしかないのです。
 細かに分解することは悪いことではありません。例えば、オーケストラやブラスバンドは大人数は、指揮者によって纏められ、音楽を演奏します。音楽制作の場面でも同じです。膨大なトラック数をMIXエンジニアがまとめ上げ、一つの音楽を作ります。

同じことが、イヤホンにおいても言えるはずです。

 

 ところで、最初の方でqdcの名前を挙げましたが、Neptuneはいい音でした。そのことから、これはメーカーの問題ではなくて”マルチBA”というスタイルが自分には合わなかっただけなのではないかと思ったりもします。

では逆に、どのイヤホンが気に入ったかというと、NeptuneやAKGのN5005、K3003、ゼンハイザーのIE800S、VeclosのEPS-700などなど。N5005は4BA+1DDのマルチwayなので他のマルチBAのIEMたちとあまり変わらないはずなのですが、とてもよかったです。EPS-700はシングルBAです。生々しい音で最高でした。

 マルチBAの音が悪い原因は、もしかしたらネットワークかもしれないとちらっと思いました。試聴したマルチBA機を一つ一つ調べたわけではありませんし、専門的な知識もないので確信はないのですが、スピーカーの世界でもネットワークの弊害を訴える声がちらほらみられるように、イヤホンにおいてもネットワークは排除すべき存在なのではないかと思いました。N5005が良かったのも、ネットワークがなかった事が原因かもしれません。(メーカーのチューニングが自分に合っただけかも)

HD800を改造する【SDRMod】

 

改造とはいわゆるSDRmodというやつです。「HD800 SDR mod」とかで検索すれば情報はたくさんあると思います。

ご指摘があればコメントしていただけると助かります。

 

改造の目的

HD800には、様々な欠点が指摘されています。例えば低音が弱すぎる点や、高域の癖などです。これらの欠点を克服するために、改造を施す人たちが一定数存在します。

2016年に、後継機であるHD800Sが、2018年には密閉型のHD820が登場しました。新機種と言っても、2009年に発売されたHD800の欠点を消すようにチューニングを変更しただけという意見もあります。それならば、HD800に少し手を加えることでHD800Sに近づけることもできるはずです!

改造の種類

改造には大きく二種類があり、壊す改造と壊さない改造があります。

後者はハウジング内に布を貼るなどの改造を指します。布を貼るだけならなにも壊していませんし、除去も簡単です。本記事で行う改造は壊す方です。ヘッドホンが動作不能に陥る事はまずありませんが、万が一ヘッドホンがぶっ壊れて正常に使えなくなってもよいという人だけ試してください。

HD800とHD800Sの違い

ドライバーはどちらも同じなので基本的な音の傾向は同じです。解像度についても両者とも差はありません。HD800SはHD800よりも音場がやや狭くなり、音の距離が近づきました。加えて高域が丸められ、低域が増強されています。

HD800SはHD800の高域の癖、いわゆる6kHzピークをヘルムホルツ共振器を用いて打ち消しています。リングラジエーターに筒状の共振器を仕込んでいるのです。

 

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Ring Radiator

改造パーツについて

さて、HD800とHD800Sの違いを理解したので、どうやって改造するかを考えます。必要なものはレゾネーターですが、これをどうするかです。コンプライのような低反発イヤーピースを適当に切り詰めて、リングラジエーターの穴に押し込んでも良いのですが、私は専用のレゾネーターを買いました。

そのレゾネーターというのが、タイトルにあるSuperDupont Resonatorです。このMODパーツはフランスのsorrodje氏が開発したもので、彼から直接購入できます。支払いはPayPalです。

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SuperDupont Resonator

上の写真が私のもとに届いた実物の写真です。これを環に突っ込むだけの簡単改造です。

素材は、紙とフェルトとウレタンフォームっぽいです。底は穴のない紙で、中間がフェルトです。一番上はコンプライみたいな質感の素材でできています。HD800Sのレゾネーターとは違って、底に穴がないためより広い帯域に効果を及ぼすらしいです。よくわかりません。

購入はこちらのページからできます。

SuperDupont Resonator : Summary and Interest Check | Super Best Audio Friends

メールアドレスがあるので連絡してください。値段は27ドルだそうです。(もちろん私も彼から直接購入したのですが、支払いが済んだのに一向に発送のメールをよこさないので進捗を聞いてみたら、忘れていたそうです。おっちょこちょいですね!)

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かわいいケースに入っていました

改造手順

さて、レゾネーターをいれていくわけですが、そのためにはヘッドホンを破壊しなくてはいけません。まずはダストカバーを取り除きます。すると、ドライバーを守っているフィルムがあるはずです。ピンと張っていて、指で押すとぷにぷにと反発があります。このフィルムを剥がすのです。接着剤でくっついているだけなので簡単に剥がれます。

まずはこうして・・・

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簡単に取れます

レゾネーターをぶち込みます

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これで完了です。もう片側も同じようにできたら完成です。こうして改造したHD800はHD800SDRと呼びましょう!かっこいい!

やり方はこちらの動画も参考にしてください。

www.youtube.com

動画ではイヤーパッドを外していますが、その必要はないと思います。レゾネーターを仕込むよりイヤーパッドを取り付けるほうが100倍めんどうくさいです。

改造後の音質の変化

音質はやはりHD800Sに近いです。6kHzのピークを取り除いたため、高域がまろやかになったのを感じます。この事によって、よりリスニング向けの、リラックスしたサウンドになっています。ただ、音場はオリジナルよりもやや狭まった印象です。6kHzピークがHD800特有の音場感の形成に寄与していたようです。

 HD800SDRはHD800Sよりも低域の解像度が高く、音色はクールめです。HD800Sの低域は若干濁っています。SDRの音がクールな音に感じられたのは、ピークの低減率がSよりも低いからだと思います。多分。

私の個人的な好みはSDRの方ですね。バランスが良く聴こえます。

まとめ

HD800の低域の解像度を維持しながら、高域の癖を取り除くことができるという点で、sorrodje氏のModは非常に優れています。HD800の欠点を克服するべく開発されたのがHD800Sですが、そこに新たな欠点が生まれてしまったのは残念に思います。SDRModは、両者のいいとこ取りといった感じでしょうか。

しかし、800と800Sはどちらもとてもハイレベルの音です。HD800SとHD800を厳密に聴き比べてみてはじめて、800Sの弱点が見えました。当たり前ですが普通に聴いている分には弱点なんてありません。

血眼で弱点を探し出して潰そうという努力としての改造は素晴らしいオタク精神だと思いますが、改造を施すのは面倒臭すぎますし、リスクがでかいです。確かに、この改造によって弱点のないHD800が手に入りましたが、十云万円もするヘッドホンを破壊するストレスでハゲそうになりました。

参考文献

HD800 "French Mod" aka "SuperDupont Resonator" | Super Best Audio Friends

SuperDupont Resonator : Summary and Interest Check | Super Best Audio Friends

SuperDupont Resonator : Summary and Interest Check | Page 33 | Super Best Audio Friends

On a 6kHz Helmholtz Resonator for the Sennheiser HD800 | Super Best Audio Friends

M.R.O.: Sennheiser HD800 Part3: In-depth analysis #1

M.R.O.: Sennheiser HD800 part3: In-depth analysis #2

Headphone Measurements | InnerFidelity

Sennheiser HD 800 S: Tweaked and Delightful...and a French DIY Response | InnerFidelity

Sennheiser HD 800 S: Tweaked and Delightful...and a French DIY Response Page 2 | InnerFidelity

Sennheiser HD800 S Impressions Thread (read first post for summary) | Page 17 | Headphone Reviews and Discussion - Head-Fi.org

HD800の微改造 | PHILE WEBコミュニティ