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JPLAYとJRiver -JPLAYをやめた理由-

PCオーディオの世界はなかなか奥が深く、パーツ一つ、ソフトウェア一つをとっても音がかわる。様々な音質変化要因が複雑に絡まり合うPCオーディオの世界だが、音楽再生ソフトの選定は、その中でも最重要事項と言える。

再生ソフトはオーディオシステム全体の音質に対する強力な支配力を持つ。それ故に最重要事項なのである。また、普段のリスニングの快適さを決めるのもこの再生ソフトである。音質と快適さ、2つの観点で自分にぴったりのものはなにか。それを選定するのは、長い吟味の時間を要する作業だろう。

私も大量のソフトを有料無料に関係なくとっかえひっかえ試してきた。その中でも最も気に入り、愛用しているのはJRiverである。JRiverという選択はもちろん、長い吟味の末にたどり着いた答えである。

種々多様の再生ソフトたち。どれを選んで音楽の相棒にするかを決めるのはそう簡単なことではない。

 

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そのような音楽再生ソフト界で最も良いとされているものがある。それがJPLAYだ。

ネット上の評判もすこぶる良いし、実際の音も非常に良かった。PCオーディオでハイエンドを目指すなら避けては通れぬ道だと感じる。

出音はまさにハイエンドらしい雰囲気をまとっている。第一に空間表現が抜きん出て素晴らしい。そして細部の描写力も非常に高い。音色の面で言えば、若干の色彩感とコントラストはあるものの、強調しすぎることはない。また、出音は柔らかいが、かといってぼやけてはおらず芯のある靭やかさがある。

とても自然な音であり、個性もある。全くハイエンドらしい傾向だ。

 

このJPLAYと比較できる音楽プレーヤーは、HQPlayerか、Bugheadくらいだろう。

HQPlayerはフィルタを様々切り替えて遊べるとても楽しいソフトである。とくにsinc-Mというフィルタの音が非常に良くて、気に入っている。sinc-Mを使ったときの描写力はJPLAYを上回るものがあると思っている。しかし、UIに使い勝手の悪さが残る。その点で、これを常用するのは厳しい。

次にBugheadだが、こちらの音も極めて良い。JPLAYよりも個性は薄めで、中庸を守っている。奥ゆかしく、まことに自然な音だと思う。しかしながら、こちらもHQPlayerと同じ問題点を共有している。

音楽を一曲一曲丁寧に聴くのであれば、HQPlayerとBugheadは最良の選択肢の一つであろう。

 

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ここで私の音楽再生ソフトの選定基準について語る。

第一条件は、安定性である。ノイズが乗らず、音が途切れず、どんなときでも安定して音がでることが最も重要なことだ。

音楽を聴く時はリラックスした状態で過ごしたい。音が出るか出ないかとか、ノイズが出るかどうかとか、そういうギャンブル的要素の不安のためにリラックスタイムを台無ししたくはない。

第二の条件は、ライブラリ性能が高いことである。好きなときに、好きな曲にいとも簡単にアクセスできる自由さと素早さが肝心である。

私の音楽の聴き方は、普通とは少し違うかも知れない。アルバム単位でじっくり聴くことはすくない。PCをいじりながら、気の赴くままに曲を次々と聴いていくのが普段の聴き方だ。一曲を聴き終える前に次の曲を再生し始めるのも、私にとっては普通のことである。それを実現するためには高性能なライブラリ機能とUIが必須なのだ。

最後に考慮するのは、音質である。冒頭で強く再生ソフトの音質への影響を語っておいて、優先順位が最も低いとは少し変な話ではあるが。もちろん音が良いことに越したことはない。だが、安定性の高さや、UIの使いやすさに優先することは決して無い。

いくら音質が良かろうとも、すぐに音が途切れたりするようでは音楽の時間の妨害者でしかない。

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タイトルにもあるように私はかつてJPLAYを使っていた。その圧倒的な高音質に魅了され、そして使うのをやめた。

安定性の悪さとライブラリ機能および操作性の貧弱さが問題だった。

 

プチっとノイズが乗ったり、再生が出来ずに設定を見直したりPCを再起動するといったこともしばしばあった。興ざめである。音が出ない原因を探り、音が出るまでを確認するだけで、疲れてしまい、音楽を聴くどころじゃない。

 

JPLAYにはいくつか設定事項がある。JPLAY FEMTOになってからは随分と簡略化されてわかりやすくはなったものの、使用環境によって設定をいじる必要があり、これがかなり面倒くさい。ある人の環境ではうまくいくのに、またある人の環境ではうまくいかないというようなことがとても多いのだ。だから各人、自分のシステムに合った設定を探る必要がある。

 

たとえば、JPLAYの設定パネルには、EngineとDAC Linkという項目があり、これらの設定が音質を決定する。そしてDAC Linkが曲者である。Engineはどれを使っても安定はする。Xtreamであろうと、ULTRAstreamであろうと関係はない。しかしDAC Linkは違う。音質に支配的でありながら同時に安定性をも支配するのである。

DAC Linkの値を下げればそれほどシビアにならずに済むのであるが、それをするならJPLAYの魅力は大幅にそがれてしまう。

というのも、私にとってはDAC Link 1000Hzが最も良く聴こえた。上記の音質の評価も1000Hzでの評価である。この値は高くなるほどに、出音は滑らかで生々しくなる。しかし、同時に不安定さもましてくる。逆に低くなると、ストレートでエッジの立った音になる。

ここは各人の好みなのであるが、私にとっては1000Hzの音が至高であり、ここを妥協するならいっそ別のソフトでもよいと思うのだ。

そして、ライブラリ機能の問題であるが、これは半ばコントロールアプリに依存する。いくつかのAppを試したが、どれも好みに合わなかった。

最も使いやすかったのはBubbleUPnPだったが、Android専用である。私はAndroidをメインに、iPhoneサブにした二台持ちをしている。BubbleUPnPを使うとなると必然的にメイン機を使用することになるのだが、これはあまりにも気に食わない。メールの通知やSNSの通知が常に表示されるのがメイン機である。そういったものをリラックスタイムに持ち込む気にはなれない。

iPhoneに対応したAppではfidataがデザイン性も良くて一番気に入っていた。だが、使いやすさではBubbleUPnPに一歩劣る感じで、またカバーアートがうまく表示されなかったりもして、うまく馴染めなかった。

 

加えて、私が音楽を聴く主な場所はデスクである。PCでネットサーフィンをしながら音楽を次々と聴いてゆくのが私のリスニングスタイルだ。ともなれば、操作はPC上で行うのが最も効率が良い。キーボードのショートカットで瞬時にタブを切り替え、次に聴く音楽を選び、またChromeへと瞬時に切り替えられるのが理想である。JPLAYのようにスマホのAppで操作するタイプでは、いちいち傍のスマホに手を伸ばす必要があり、面倒くさい。この些細な動作の積み重ねが、なんとなくストレスなのである。

安楽椅子に腰掛け、数メートル先に設置されたスピーカーからの出音に耳を傾けるような、ピュアオーディオ的リスニングスタイルとは相性がいいが、私のような人間には合わない。
最後にもう一つだけ理由を付け加えるとしたら、天井が見えない事だ。ネットワークオーディオしろPCオーディオにしろ、極めようと思えばきりがない。多岐にわたる音質対策を施すのは面倒くさすぎる。音楽再生とは直接関係のなさそうな部品や機材にまで注意を払う必要がある。例えばCPUの型番やメモリ、MBのVRMのフェーズ数、SSDの型番、それを接続するSATAケーブル・・・。それは個人的には違うなと感じた。

JPLAYに手を出してしまえば、否応なしにその世界へと引きずり込まれてしまうような気がした。

最も望ましいのは、単純な構成のPCとDACだけで完結するオーディオである。

JPLAYの想定する使用法と私の使用法が合致しなかったということに落ち着くだろうか。

 

そして今はJRiver Media Centerを使っている。JRiverにJPLAY Driverを組み合わせが最も使いやすく、音質も良い。

以前ほどプチノイズに気をつかわなくなったし、設定いじりに腐心することもなくなった。よって音楽、オーディオとは本質的に無関係なところに手間暇をかけることもなくなった。

JRiver単体では音質面に一抹の不安が残る。そこで、JPLAY Driverを当ててやることにした。

薄曇りの音に、JPLAY Driverによって鮮やかさと深みが加わり、満足のいく音質になった。それでも、JPLAY FEMTOの鮮烈な音には敵わない。だが、安定性と利便性を考えたら、この方法が一番良い気がした。

 

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JRiver+JPLAY Driverでもう十分に満足した。抜群の安定性と使いやすさ、そして普通以上の音質。その他に求めるものがないといえば嘘になるが、その求めるものが時間的、金銭的なコストに見合う音質を提供してくれるかどうかがわからない以上、深入りするのはやめておくことにする。